Si Fi Su Ki

仮の住まいには、コーヒーメーカーがない。
どうしてか、日本に帰ってからコーヒーを毎日飲む習慣がつき、
コーヒーがないと、なんだか元気が出ない。

「今日はサンダーストームだよ」
とマイケルが言うので、朝公園と買い物に行った後、家でおとなしくしていたけれど、夕方になっても雨の音がしない。(仮の住まいはベースメントなので、全く外の様子がわかりません)なので、ディナーの後に、お散歩。

ビューティフル・サマーイブニング。

青空に、鰯雲。バングラデシュのお祭りがあっていて、バンドがジェイムス・ブラウンを演奏していた。

公園には、様々なバックグラウンドの子どもたちが一緒に遊んでいる。
日本ではよく、「ハーフですか」「外人さんですか」と聞かれたけれど、
カナダに来て2ヶ月とちょっと。この質問は全くありません。
「ナニーに間違われることがあるよ」って聞いてたけど、今のところ、それもなし。

これからどんな風に子育てしていくのか、どんな人と会い、ネットワークを作っていくのか、不安もあるけれど、住まいが落ち着いてきたので、ぼちぼちリサーチなどしていこう。

と、色々考えながらコーヒーショップによって、明日の朝のコーヒーを調達。
サーバーさんと、常連さん達とのおしゃべりは、仮の住まいでも欠かせない。
おそらく一番の情報源だと思われる。

***



はじめから終わりまで、緊張しながら読んだ。先が読めず、ドキドキ。サイエンスフィクションはあまり得意じゃないと思っていたけど、この本を読んで、面白いジャンルかもしれないと考え直した。

感染後二日以内に死んでしまう感染力の強いジョージアンフル。トロントのシェイクスピア劇の舞台から、ポストアポクリプティックなサバイバルワールドとプレアポクリプティックな日常を織り交ぜて語られる。手紙や、雑誌、劇のスクリプトなど様々な形で情報が伝えられるし、章立てが短いので、かなりテンポよく読める。

この作者は、人の描写がうまい。ハリウッドのディナーパーティー、交響団の団員、カルトメンバー。脇役まで数えれば結構な数の人間が登場するが、細かく性格や容姿が書かれていて、その描写が退屈じゃない。なんかハッとさせられるものがある。

この話で面白いのは、今私たちが住む社会で当然として享受しているテクノロジー、例えば飛行機、インターネット、電気など、が全く機能しない未来を舞台にしていること。未来の話なのに、過去(私たちの今生きる現代)に存在した「文明」に思いをはせる、という設定が様々な反省や観察をもたらしてくれる。

災害の多い日本では、避難所で人々が身を寄せ合って暮らすというのが他人事ではなく、結構想像できるというか、そういう状況にも備えて生活しようとする環境があるけれど、この本が舞台になっているトロント(に私は住んでいるのだけど)には、そういう意識があまりない。空っぽになっていく街の中で、人々が疑心暗鬼になり、人を信じられずにサバイバルを目指す、というプロットが突然可能になるのも、トロントならではかなあと思ったりもした。この本が私にとってとても特別に感じられたのは、舞台がトロントであるっていうのも大きい。書かれている場所がとてもファミリアーで、「うんうん、そうだよね」と頷きながら、そして、頭に鮮明にイメージしながら物語に入り込むことができた。

それに関連して、オンタリオにも原子力発電所があるので、誰もいなくなったなら、それはどうなったのかな?と疑問に思ったけれど、本編ではそれは扱われなかった。

この筆者の作品は初めて読んだけど、とても面白く、表現もすごく素敵で勉強になったので、また読んでみたい。

勧めてくれた友達に感謝!
全編を通して、ロマンチックだったけど、超怖かったーーー。怖いのが苦手な人は、やめたほうがいいかも。そして、とてもダークです。終わり方はそうでもないが。

コメント

人気の投稿