モリスンの新作
ああ、コンタクトが取りたい人と、行き違う。。
私が電話すると相手が取れず、相手がすると私が取れず、
もどかしい。。
昨日はジョブディベロパーと初めてのミーティング。
なんだかオンタリオ政府のしてるサービスで、まだ何があるのか良くわからないけど、なんか良さそうだったので、来週のミーティングにも行ってみよう。
移動中に読んでいたトニ・モリスンの新作"God Help the Child"がすっごく面白くて、細切れに読むのがもどかしかったので、ランチに入ったハンバーガー屋さんで一気に読み終えた。
モリスンの本って、ずっしり重くてあたたかい。
この人の文章はやっぱりすごい。
以下レビューです。
モリスンの新作。久しぶりに仕事や他のことを後回しにしてでも読み続けたい小説だった。この人の文章は、サブジェクトマターを全く鑑みなければ、芥川龍之介みたいだなあと最近思うようになった。簡潔で無駄がないのに、正確に核心をつく。書くことは全然違うけどね。
今回の作品は黒人差別の問題はベースにあり、幼少期のトラウマ、キャピタリズムの弊害、被差別層の家庭教育の理想と現実などのテーマを、主人公「ブライド」と彼氏のブッカーのラブストーリーを軸にかいていく。ブライドは肌の色が漆黒で真っ黒な目に青い光を宿す黒人女性。彼女の両親はどちらも白人で、生まれた肌の黒いブライドに父親は嫌悪を示し出て行く。黒人差別に耐えかね、母親はブライドに自分のことは「お母さん」といわずに「スウィートネス」と呼ぶようにしつける。
語り手が頻繁に変わり、主人公、ブッカー、母親(スィートネス)、主人公の友人ブルックリン、孤児の女の子などブライドが出会う人物たちはそれぞれに一人称のナレーションとして声をもつ。のだけど、ブライド以外の人生はあまり深く掘り下げられないまま、ブライドの人生が進むとともに本の中からフェードアウトする。
最初と最後のナレーションはブライドの母親。自分がブライドにした冷たい仕打ちを悔いるとともに、存在する差別に打ち勝つためには自分の教育方法でよかったんだと語る。この本を通して、人種差別にどう対処するのか、様々な姿が描かれている。
唯一の男性主要キャラクターであるブッカーは大学院まで進み、「レース(人種)」というのは実在せずただ支配層によって作られたシステムであり、そのルールでプレイしないことを選ぶ。その一方で、「人種が虚構」というのが事実があっても、人種差別は実際に存在し、日常の苦しみは変わらないのだというブライドの結論、そして彼女は「黒人であること」をコモディティ化することで自分の居場所をなんとか確立していた。それがお互いの過去のトラウマ(共通しているのは「児童の性的虐待」)がトリガーになり、ブッカーは何も告げずブライドを置き去りにする。ブライドは彼を追い、カリフォルには北部へ車を走らせ・・・。
モリソンなので、かなりぐろく、グラフィックなところも。だけど、今までの作品に比べて少し軽めというか、肩の力が抜けているような気がする。80歳を超えて、現代の若者のストーリーを様々な世代、人種の視点から見事に描いている。仕事も雑用も全て脇においておいて、ただ黙々とモリソンの世界に浸れた贅沢な時間。
いつか母親になったとき、また読みたい。
私が電話すると相手が取れず、相手がすると私が取れず、
もどかしい。。
昨日はジョブディベロパーと初めてのミーティング。
なんだかオンタリオ政府のしてるサービスで、まだ何があるのか良くわからないけど、なんか良さそうだったので、来週のミーティングにも行ってみよう。
移動中に読んでいたトニ・モリスンの新作"God Help the Child"がすっごく面白くて、細切れに読むのがもどかしかったので、ランチに入ったハンバーガー屋さんで一気に読み終えた。
モリスンの本って、ずっしり重くてあたたかい。
この人の文章はやっぱりすごい。
モリスンはノーベル賞作家
以下レビューです。
モリスンの新作。久しぶりに仕事や他のことを後回しにしてでも読み続けたい小説だった。この人の文章は、サブジェクトマターを全く鑑みなければ、芥川龍之介みたいだなあと最近思うようになった。簡潔で無駄がないのに、正確に核心をつく。書くことは全然違うけどね。
今回の作品は黒人差別の問題はベースにあり、幼少期のトラウマ、キャピタリズムの弊害、被差別層の家庭教育の理想と現実などのテーマを、主人公「ブライド」と彼氏のブッカーのラブストーリーを軸にかいていく。ブライドは肌の色が漆黒で真っ黒な目に青い光を宿す黒人女性。彼女の両親はどちらも白人で、生まれた肌の黒いブライドに父親は嫌悪を示し出て行く。黒人差別に耐えかね、母親はブライドに自分のことは「お母さん」といわずに「スウィートネス」と呼ぶようにしつける。
語り手が頻繁に変わり、主人公、ブッカー、母親(スィートネス)、主人公の友人ブルックリン、孤児の女の子などブライドが出会う人物たちはそれぞれに一人称のナレーションとして声をもつ。のだけど、ブライド以外の人生はあまり深く掘り下げられないまま、ブライドの人生が進むとともに本の中からフェードアウトする。
最初と最後のナレーションはブライドの母親。自分がブライドにした冷たい仕打ちを悔いるとともに、存在する差別に打ち勝つためには自分の教育方法でよかったんだと語る。この本を通して、人種差別にどう対処するのか、様々な姿が描かれている。
唯一の男性主要キャラクターであるブッカーは大学院まで進み、「レース(人種)」というのは実在せずただ支配層によって作られたシステムであり、そのルールでプレイしないことを選ぶ。その一方で、「人種が虚構」というのが事実があっても、人種差別は実際に存在し、日常の苦しみは変わらないのだというブライドの結論、そして彼女は「黒人であること」をコモディティ化することで自分の居場所をなんとか確立していた。それがお互いの過去のトラウマ(共通しているのは「児童の性的虐待」)がトリガーになり、ブッカーは何も告げずブライドを置き去りにする。ブライドは彼を追い、カリフォルには北部へ車を走らせ・・・。
モリソンなので、かなりぐろく、グラフィックなところも。だけど、今までの作品に比べて少し軽めというか、肩の力が抜けているような気がする。80歳を超えて、現代の若者のストーリーを様々な世代、人種の視点から見事に描いている。仕事も雑用も全て脇においておいて、ただ黙々とモリソンの世界に浸れた贅沢な時間。
いつか母親になったとき、また読みたい。


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