Fifteen Dogs

Fifteen Dogs アンドレ・アレクシス 著
ヘルメスとアポロ、ギリシャ神話の神々が、
トロントの酒屋で賭けをすることにした。
「もし動物が人間の知性を持ったら、
惨めに死ぬに違いない。この15匹の犬に知性を与えよう。
そのうちの一匹でも幸せに死ぬことができたら、君の勝ち。
負けたほうが人間の時間の1年、奴隷となるのだ」
ざっくりこう言う賭け。飼い犬だった十五匹が人間の知性をいきなり与えられ、
犬なりの思考から離れ、人間の思考をしてしまう。
その乖離に戸惑う犬、過去に戻りたい犬、新しい言葉で詩の創作に勤しむ犬。
この200ページにも満たないスペースで、十五匹の運命を追うのだから、
かなりのペースで犬が死にます。
暴力的で、非情にやられちゃう。
だけど、これは犬の物語というより、犬の苦しみから見る人間の物語。
人間たるとはどういうこと?
それから、人間の近くで暮らす、人間をそばから観察する犬の目を通した人間の風刺。
人間って、思うほどスマートじゃない。不可解で醜い。ギリシャ神話の神様と同じくらい冷徹。
だけど、人間として生きるって、こんなにまどろっこしい言葉を使って、
「通じあう」「理解する」「推し量る」
Understanding する、
その先に何があるんだろう?
私はビーグルが大好きなので、もちろんずる賢いビーグル、ベンジーというキャラクターに一番肩入れしていたのだけど、彼はなんともビーグルらしく、生きました。
かなり死が多い話なので、明るい気分にはあまりならないけど、とにかくハラハラするので、一冊を読むスピードがおそらく今までで一番早かった本かな。
私としては、予想通りの賭けの結果になりました。
余談だけど、この本を作った出版社コーチハウス、私たちのトロントの家の近所にあって、いつも本が刷られるところ見てたし、十五匹の犬の活動範囲が全てトロントなのでトロントの名所がいっぱい出てきて、懐かしかった。
そういうセンチメンタルバリューがあったから、おそらくマイケルパパがプレゼントしてくれたのだろうなと思います。
面白かった!
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