I haven’t grown yet.
最近新しいことをふたつ始めた。ひとつは釣り。
広東語の先生に、釣り人を見るのが好きだと話したら、釣竿とリールをくれたので、やってみた。
うちはフェリー乗り場に近くて、埠頭でたくさんの人が釣りをしている。
泳ぐ人もドラゴンボートをこぐ人もいる。
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海 |
あたたかい海が近い暮らしが、わたしにはとてもありがたく、毎朝のランニングもすごく気持ちがいい。
釣竿を手に入れて変わったことは、釣り人とより積極的に話ができるようになったこと。
「餌を見せてください、ここでは何時に釣るのがいいですか?、初心なんですが見せてもらってもいいですか。」
表現をピンポイントで学び、実践する。先日はおじいさんに練り餌を見せてもらい、材料を聞いて作ってみたら、魔法みたいに魚が寄ってきた。
週2回くらい釣りに行く。ひとりで行くこともあれば、8歳児と行くこともある。毎晩8時に釣りを見せてくれたおばさんがいたのだけれど、8歳児の5時半起き生活が始まり、8時は就寝時刻なので平日は昼間に5歳児と行く。彼女のお迎えのあとの時間に1時間ほど。休日は夕方に8歳児と。わたしは本を読んだりギターを弾いたり、インドア活動も好きだけれど、基本的に外で時間を過ごすことが好き。何もしなくても、外にいるだけでいい。
トロントにいたときも、「公園フルタイムシフト」を組み、子供たちと一日中公園で過ごしていた。なんだろうね。子供のときに田んぼの中でひとりで過ごしていたのが大きいのかもしれない。「せせらぎの場所」という秘密の用水路の階段があって、そこでひとり魚を見たり、その日見た夢について考えたりしていた。
土地とのつながりを感じることがわたしにとってはすごく大事で、人生でいちばんくらい大事で、だからセトラーコロニアリズムとか勉強したのに、皮肉にもこんなに土地に根付かない暮らし方をしている。だからなのか、時間と事情さえゆるすなら、外に出たくてむずむずする。
もうひとつ、新しいことは、木版画を学ぶこと。どこかの大学の先生で、木版画のアーティストが香港で一カ月ワークショップを開催するらしい。ずっと木版画はやってみたいと思っていたので、この機会に申し込んだ。正直、ゲラもあるし訳出もあるし、釣りもあるし広東語の勉強もあるし、育児も家事もあるから時間の余裕はない。だけど、「今やらなきゃ」っていう勘は大事にしたい。後回しにしたら、ずっとやらない気がする。今週末に第一回目がある。
わたしが釣りの報告をするからか、広東語の先生は、授業のたびに新しい釣り具を持ってきてくれる。新しい道具と新しいやり方を聞いたら、とりあえず試してみる。新しい言葉を試してみる感じに似ている。
釣り人にいろいろ質問をしていたら、「あなたのお母さん、すごくかわいい人ね」と5歳児が話しかけられていた。わたしはなんだか、ずっと子供っぽい。土地を変わるたびに、赤ちゃんのような気持ちになり、ゼロから学ぶ。わたしの名前は「育未」で、「未だ育たず」なんて、すごくへんてこな名前だと思っているのだけれど、それはこういうことなのかもしれないね。いつも「育たない」。育ちきる前に、次の場所に行って、そこでまだ育とうとはするのだけれどね。自分の中でちゃんと何か、大きく育っていたらいい。育ってくれていたらいいな。
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