ホーム

"Home" by Warsan Shire
No one leaves home unless
home is the mouth of a shark
you only run for the border
when you see the whole city running as well
誰も故郷を捨てたりしない
だけど、そこがサメの口になったら
国境を目指して走るしかない
街が一斉に逃げるその時。
your neighbours running faster than you
breath bloody in their throats
the boy you went to school with
who kissed you dizzy behind the old tin factory
is holding a gun bigger than his body
you only leave home
when home won't let you stay
近所の人たちがあなたを追い抜いていく
血にむせながら
同級生の男の子、
古い缶工場の裏でクラクラするようなキスをしたあの子が
体よりも大きな銃を抱えている
誰も故郷を捨てたりしない
だけど故郷が留まらせてはくれない

と始まる詩を、セバンスズキさんがフェイスブックで紹介していた。
ワルサン‥シャイアさんというケニア出身のソマリア詩人。
私の友人にもソマリア出身の人が多いのだけど、一番仲の良い子は泣いていた。
彼女はムスリムでもある。
いつも気丈で、誰にでも優しい彼女が、あんなに打ちのめされているところを初めて見た。

ケベックで起きたテロが、白人至上主義の犯人によって起こされたとニュースで読んだ。
難民、移民の受け入れに反対であったこと、女性蔑視の傾向を強く持っていたこと。


no one leaves home until home is a sweaty voice in your ear
saying-
leave,
run away from me now
I don't know what I've become
but I know that anywhere
is safer than here
誰も故郷を捨てたりしない だけど故郷が汗ばんだ声で
こう言うー
見捨てて、
私から早く逃げて。
私が何なのか、もうわからないけれど、
ここではないどこかの方が
安全なのは確か。

トランプ大統領のこと、このテロのこと、報道やコメントを見ていて、
カナダらしいなあと思うのは、これをナショナリズムにつなげてしまうこと。
「自分たちはアメリカとは違うんだ」
「これはカナダに対する攻撃だ」

本当かな?そんなに違うかな?
つい最近まで民主的に選ばれたハーパー政権だったじゃない?
トルドー首相は「アメリカにリジェクトされた難民はウェルカムだよ」と速攻ツイートしながら、具体的なアクションは取ってない。
「カナダはピースフルで暴力はないよ」と言うけど、
先住民の人の住むパイプラインを通そうとしているのはカナダだよ。
カナダにも奴隷制度があったよ。
「カナダは移民の国」
移民がマジョリティになるまでに、先住民の人を暴力的に扱ったのは?そしてその扱いがまだ続いているのは?

私はナショナリズムがどっちにしろあんまり好きじゃないのだけど、
アメリカの暴走を見ながら、「カナダってすごいよな、いい国だよな」っていうのは、なんか違和感を感じる。

「こんなテロ、カナダで起こるなんて、カナダらしくない!」っていう反応は、
未だにカナダにも残る白人至上主義を見ないようにしてるみたい。
「臭いものには蓋」的な。

このシャイアさんが書いた詩の中の「ホーム」。
「アメリカ」
「カナダ」
「日本」



「ホーム」
詩はこちらから読めます  http://seekershub.org/blog/2015/09/home-warsan-shire/
このブログの訳は私のものです

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