漱石とウィルとタルコフスキー

「たけくらべ」原文ままで読んだらすっごく難しくて、表面だけで流してギブアップ。現代訳本を図書館で探してみよう。

今読んでいるのは夏目漱石の「硝子戸の中」。撮影の待ち時間に読んだのだけど、本当にすてき。選び抜かれた言葉に浸っているときが、一番充実していて心が落ち着く気がする。空気がきれいな森の中で深呼吸しているよう。

少し紹介。


その人はとても回復見込みのないほど深く自分の胸を傷つけられていた。同時にその傷が普通の人の経験にないような美しい思い出の糧となってその人の表を輝かしていた。
(中略)
公平な「時」は大事な宝物を彼女の手から奪う代わりに、その傷口もしだいに療治してくれるのである。烈しい生の歓喜を夢にように暈してしまうと同時に、今の歓喜に伴う生々しい苦痛も取り除ける手段を怠らないのである。

昨日頑張って昼寝せずに1日起きていたので、今日は少し朝寝坊。
その前の夜の興奮が冷めやらず、思い出すとまだドキドキする。

撮影の合間の「ランチ」
CNタワーがみえる


私が主に一緒に働いたのは「007」や「Wolverine」に出演したウィル・ユン・リーさん。
あまりアクションには興味がなかったけど、本当に人柄が素敵で演技への情熱に溢れる人で、すっかりファンになってしまった。



撮影中に二人、これからも協力者となってくれそうな人に出会った。ロシア人のダイアログコーチと、スタンドインの俳優さん。すごく親身に助けてくれたし、厳しい助言もしてくれた。こういう出会いもドキドキする。ありがたい。

今日はちょっと雑務を片付けながら、インディペンデントプロジェクトの監督からの課題だったソビエト・ロシアの巨匠タルコフスキーの作品を見る。

「鏡」

すごく象徴的に水や火などのモチーフを使う人。映像がとにかくきれいで、文学を読んでいるみたい。どのフレームで切り取っても、すごい意図を持ってカメラを動かしたんだなというのがわかる。画面に無駄がなくて、スペースの余白、それからバックグラウンドでのムーブメントもすごく計算されているのがわかる。何より場面の切り替わり方がうますぎ!なんだこれ!!!

学ぶことはつきない。知らなかった世界がどんどん開いていく。
もっと見つけて楽しみたい。分かりたい。わかるようになりたい。

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