Merry Christmas



ノバスコシアより。
メリークリスマス。

ハリファックススタンフィールド国際空港に到着し、義母とハグ。
クリスマス一色の空港は少し混雑していて、荷物を受け取り車に乗るまでもたついたけど、あとはスムーズにルーネンバーグまでドライブ。

一歩外に出ると、心地よい湿った空気が頬に触れ、ノバスコシアに来たなあとほっとする。やっぱり都会暮らしには向いてないのかな、私。

ルーネンバーグの隣町、マホンベイに入る前に三つの教会の明かりが見える。海に反射して映るオレンジと白と黄色の明かりは、どの季節も美しい。

現在の義母の家は、ルーネンバーグのいくつもある丘の中の一つの中腹にあり、歩いて街の中心にも、街の裏にあるトレイルにも行ける。車が滅多に通らないので、タピはのびのびと走り回り、雪玉を投げている。

この町では、毎日がとても静か。

大好きなカフェ、ビスケットイーターで久しぶりにマイケルとデート。
読みたい本や、書くためのパソコンを持って行ったのに、マイケルとどうでもいいことを喋ってたら、あっという間に帰る時間。

話したいこといっぱいあるね。

そんなわけで、今年の年末年始はノバスコシアから。
このブログを更新します。

みなさんが素敵な一年の締めと、始まりを迎えられますように。
メリークリスマス

**以下はレビューです***



"Pachinko" by Min Jin Lee
日本の植民地だった朝鮮半島の釜山の近くに、Sonjaという少女が住んでいる。母親と父親と一緒に宿を切り盛りしている。父親は早くに亡くなり、日本の支配による状況は厳しくなっていくが、母娘はなんとか宿を盛り立てる。
ある日、市場でSonjaはハンスという商人に出会う。少女よりも年上の身なりの良い男性。彼女に近付き、二人は男女関係を結ぶ。Sonjaは彼に激しく惹かれ、結婚することを夢見るが、妊娠後、彼が既婚者であることを知り、一切の援助を受けることを拒み、、関係を断ち切る。
その時に宿に来ていたクリスチャンの牧師が、彼女の身の上を憐れみ、結婚する。新しい担当地である大阪に彼女を連れて行く。そこから、Sonjaの孫の成人すぎまで4代にわたる「在日」と言われる人たちの日本での暮らしを描いたのがこの長編。
「パチンコ」というタイトル通り、家族はパチンコ稼業に勤しむ。人間関係は複雑化していき、悲劇は悲劇を生む。Sonjaが日本に着いた頃は、植民化される人たちとして、不当な差別的な扱いを受け、食べるもの、着るものに困りながら生き、そしてSounjaは警察の拷問により夫をなくす。そこから終戦、朝鮮戦争、を経て1989年まで家族のストーリーが綴られる。
よくリサーチされている本だったこと、そして日本を舞台にした、英語で書かれた、在日の人の視点で書かれた小説を読むのは初めてだったこともあり、かなり興味を持って読んだ。日本人として、胸が痛い場面も多々あり、日本への批判も強い口調で所々噴出する。これが翻訳されたら、怒る日本人がいっぱいいるだろうなあと思うくらい。
話の筋や書き方で私は好きになれないところがたくさんあったけど、正直、自分は在日の人のことを全く知らずに育ったのだなあと反省しきりだったし、学ぶきっかけになるという意味では、とても良い本だったと思う。カナダに来て、その前のアメリカでも、先住民の人たちのことを読み、勉強した。自然と、じゃあ日本の植民地政策はどうだったんだろう?と目が向いた。私が何気なく、日本人として生きていた生活の中に、何気なくなんて生きれなかった人たちがいるんだろうと、学校などで学ぶ機会がなかったわけじゃないし、日々生きる中で差別的発言などに出会わなかったわけじゃない。けれど、それを真剣に見ようとしなかったのには、日本人としてのノーマライゼーション、おごり、もっと言えば、罪悪感のようなものがあったのだろうか?そういうことを考えなくてよかったこと自体が、「プリビレッジ」を持って生きていた証拠なのだ。
この作品の難点を挙げるとすれば、女性キャラクターがとてもフラットに感じたし、日本の文化のプレゼンテーションが少しステレオタイプによるものが多かったんじゃないかと思う。英語で出版するので、英語の読者層に媚びたのかもしれないけれど、正直、日本人が話す会話の中で"girl friend-o"と綴られていたのには少し冷めた。また、私は日本語が母国語なので、時々ローマ字表記で挟まれる日本語の表現は気になった。例えば、
"sonee"
"maji?"
"Honto?"
しまいには
"Tsugoi"
すごい、のつもりなんだろうけど、「つごい」って。。
このローマ字表記は果たして有効に使われているのだろうか??
この表記の問題と、少し間延びする話の筋で、500ページ近くあるテキストを読破するのに思ったよりも時間がかかった。とても辛いプロセスになりそうだけど、今度帰国したら、在日の人が書いたものをたくさん読む。

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