カナダのノーベル賞作家アリスモンローを読んでみた

ノーベル文学賞受賞のカナダの作家、アリス・モンロー。

読んでみたのは、「Dear Life」





このバージョンには、いっぱい「賞賛の声」が紹介されている。
例えば、NY Timesの
"One of the great short story writers of our time but of any time."
Vancouver Sunの"A new collection by Alice Munro is cause for celebration."とか。
レビューって大概あいまいなことを、空っぽな言葉で書いてあることが多いので、あんまり当てにしないけど、読み終わって、The Gazetteのレビュー、
"Like an archemist, she transforms the ordinary into gold...Deceptively simple, peopled by seemingly ordinary men and women- mostly women- Alice Munro's short stories are textured and deep."
が一番この作品を捉えているものだと思った。

この本には、14の短編が収録されていて、一番最初のお話は"To Reach Japan"。バンクーバーから少し危険な恋を追ってトロントに来る1人の女性の旅路。アリスモンローの私にとって魅力的なところは、ほとんどの話がカナダの小さなコミュニティ(この本ではほとんどオンタリオ州かBC)か、トロントが舞台だと言うこと。また、私にとっては読むのがすごくレアなカナダ白人女性の作品だと言うこと。最近注目されているカナダ文学は近年の移民のによる作品が多いので、意外と、彼女のような目線からのカナダのことが書いてあるのって、(注目を浴びるのが)少ない気がする。

読み始めは全然入り込めなくて、面白くなかった。シンプルな文体で、どうでも良いような日常の小さなことをつらつらと書いてある、としか思えなかった。
初めは、「なんでこんなのがノーベル賞?」と正直思ったのだけど、4つ目のお話くらいから、「さすがだー」とため息をつきながら、ひとつひとつの言葉を心から楽しみながら読んだ。

日常の小さな欠片が集まって、どこかでつながって、そして突然ある日おこる小さいけど確かな何かが、その人を一生「かえる」んだということ。

全然違う作風だけど、パウロ・コエーリョの「7日間で人生は変わる」というコンセプトに通じるところがあり、レスドラマチックに、人生を永遠に変えてしまう瞬間をじっくりと描く。



こんな人


何がすごいって、ネタの豊富さ。何冊も今まで本を出し、いくつもの賞をとり、今回の本には14編収録されているけど、どの話も被ることがなく、登場人物もセッティングも、お話の始まり方も、毎回想像力を新しい形で掻き立てられる。

他の作品も読みたい。

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