Between the World and Me
今日は暑かったし、頭が痛かったので、
洗濯物とお部屋の模様替えだけして、
本を読みました。
マイケルがよく頑張ってくれたので、私は楽ばかりだった〜
いつもありがとう。
この本はマイケルが薦めてくれたから読んだ、ニューヨークタイムズベストセラー。
読んでよかった。本当に。
アメリカの歴史、"Black Lives Matter"運動や黒人差別に興味のある人はおすすめ。
英語自体もそんなに難易度は高くないし、かなりリズムのいい文体。
個人的には政治的なことを抜かしても、マイノリティとしてカナダで生きていく自分に
すごくためになる、現実を教えてくれる、勇気をくれる一冊でした。
以下、レビューです。
「レイシズム」という言葉がぷかぷかとコンセプトとして捉えられる傾向に、レイシズムはアイディアではなく、それが実際に肩の骨を砕き、肺を潰し、人間の心臓を止める、「黒人の体」を壊すシステムに寄って構築された「アメリカ」のレガシー、ヘリテッジなのだと筆者は訴える。
黒人である息子への手紙形式で綴られるジャーナリストの自伝。警察暴力による黒人の犠牲者が絶えず、デモなどがさかんに起こる今、かなり意義のあるタイミングで出版された本で、ニューヨークタイムズのベストセラーというのもうなずける。
黒人としてアメリカという社会で生きていくのは、「ドリーマーズ(夢見る者たち、夢見ることを許された者たち)」の犠牲、もっと言えば、その人口よりも下等に位置付けられ生きていくということだと、父親として正直な言葉で息子に向かって話していく。奴隷として黒人の身体が壊されたときから、程度は変わるものの、今も、支配者のパワーの表現、維持のために黒人の体が「壊す価値」のあるものとして扱われるという批判を、自分の人生に基づいて投げかけ、説得力のあるものにしていた。頭でわかっていたことでも、この自伝を読むと、肩に力が入り、冷や汗をかくよう。黒人であるというだけでかじるストレス、我慢、少しの失敗やエラーが命を狙われることに容易につながる危うさ、そして命が重みを持たないやるせなさ、がんがん伝わってくる。
最初の3分の1位はかなりシャープに、黒人の置かれる立場について表現し、中は自分の生い立ちや影響を受けた本など少しペースが落ちる。キーになっているのはプリンス・ジョーンズという彼の学生時代の友達が、警察によって不当に殺された事件。
そこから筆者は、「レイシズム」という言葉だけでは到底説明できない謎、なぜ(自分も含めて)誰もプリンスを救えなかったのか、この社会がこの暴力を裁かず、忘れ去るメカニズムはなんなのか、疑問を抱いてはジャーナリストとして、また、一人の人間としてつきつめて知ろうとしていく。そして自分なりの答えを、息子に語りかける形で読者に訴える。
ところどころハッとするような言葉遣いで、的確に黒人の味わう痛み、恐怖、ストレス、絶望、現実を表現していく。読んでよかったし、自分の子どもにも絶対に読ませたい本。
以下は筆者が初めてアメリカを離れたときの気持ちを描写したもの。初めて日本を離れて、コロラドに一人で降りたときの気持ちとなんだかかぶる。
"I was not just a father but the father of a black boy...But sitting in that garden, for the first time I was an alien, I was a sailor- landless and disconnected. And I was sorry that I had never this particular loneliness before- that I had never felt myself so far outside of someone else's dream (p.124)."
訳:ただの父親でなく、私は黒人の息子を持つ父親だった。(中略)しかし、その庭に座りながら、生まれて初めて、自分がよそ者でふるさとを離れ迷子の船乗りのような気持ちがした。どうして今まで、この特別な孤独を味わおうとしなかったんだろう?誰かの「夢」から遠く離れることを知るのに、どうしてこんなに時間がかかったのだろう?
コメント
コメントを投稿