ハロウィン、それ着るの?
ハロウィン。
コロラド留学のときは好きな人が誘ってくれたパーティーだったので、
黒いドレスでクロネコで行ったんだけど、
そこから年々手抜きが続いているハロウィン。
いかに持っている服で、いかにお金かけないで手作りするか!
というテーマで取り組んでします。
もうこの時期寒いから、露出は無し!
そんなに頑張れない。
だけど、ハロウィンのコスチューム、
最近議論の高まりが。
コスチュームが
・Racistである
・女性蔑視につながる
など。あんまり考えなしにやっちゃうと、人の気持ちを害してしまう場合も。
全ての人の要望に応えるのは無理だけど、でも、自分の着るコスチュームが文化的にタブーではないかはチェックしたほうがいいかも。
カナダ、アメリカで今一番ディスカッションがさかんに感じられるのは、「インディアン」のコスチューム。
ヘッドドレスや、レガリアを「コスチューム」として着ることが、
ネイティブアメリカンやファーストネーションズの人たちに対しての
Disrespect
であるという認識が主流になりつつある。
*注意*このエントリーでは、蔑称である「インディアン」をコスチュームや差別的イメージを説明するときには括弧付けで使用します。正式には、「ネイティブアメリカン」「ファーストネーションズ」「アメリカンインディアン」「アメリンディアン」などいろいろ呼称がありますが、ネーションの個別の名前が分かっている場合、特定して使用したほうが良いです。
「楽しいイベントなんだし、そんなシリアスにならなくていいじゃん」
「たかがコスチューム。センシティブになりすぎ。」
「考えを他人におしつけるな」
とか色々反論もあるのだけど、そんなシンプルな問題では済まされないのです。
なぜか。
アメリカもカナダも他の多くの国と同じように、ヨーロッパからの入植者達が1400年代、本当はもっと前からやってきて作った国と言われているし、今もそう思ってる人がいっぱい。
「カナダは移民の国」とかよく言うよね?
だけど、先住民の人たちがその前からいたし、そして、今もいる。
どんなひどい迫害を受けても、自分達の文化やアイデンティティを守りながら生活している。
リザーブという割り当てられた土地で生活している人もいれば(リザベーションとアメリカでは言う)、トロントなどの都会で生活している人もいる。
そうなんだけど、アメリカで彼らが「見えないマイノリティ」と呼ばれるように、その存在は長年見えないように、蓋をされてきました。
その方法の一つがイメージの操作。
「未開で野蛮」と先住民の人のイメージを植え付けることは、暴力的に彼らの土地を奪ったり、アンフェアなきまりを押し付ける際に、有効な手段として長く用いられました。
近年では、ハリウッド映画をはじめとするマスメディアを介し、ネイティブアメリカンやファーストネーションズは「インディアン」という総称で、とても野蛮、原始的、裸で火の回りを踊り、残忍なやり方で白人入植者を殺す、という一方的なイメージが広められています。
もしくは「ポカホンタス」のようなセクシーなインディアンプリンセス、もしくは、メディシンマンのような賢くて自然とともに生きてるよ!的なイメージ。
どれをとっても、「同じ人間」としてのカテゴリーではなく、"Dehumanized"、非人間化されたカテゴリー。
これは何も娯楽に限ったことではなく、ニュースメディアなんかでも、先住民系のプロテストには”野蛮”という言葉が良く使われたり、ネイティブコミュニティのニュースは「酔っ払っていてLazy」みたいな植え付けをするものが多いのだ。そして決まって、「税金ドロボー」とか。
確かに、ファーストネーションズコミュニティやネイティブアメリカンのコミュニティで、アルコール依存症や自殺率の高さが問題になっているのは事実。だけどそれを、植民・支配の歴史を抜きにして、「やつらLazyだから」というのは違うんじゃない?そういうのを”victim blaming”っていうんじゃない?
大学院のクラスでこんなエクササイズをやったことがあります。
先住民の教授がこう指示を出しました。
しかも、そのプロセスは、ヨーロッパの人たちが作った枠組みで彼らの思う「基準」をクリアしていかなければいけない。法律を書かれても言葉だって違う。入植者が増えるにつれて、どんどん「小さな声」にされ、リザーブにしまいに閉じ込められる。子ども達は親元を離され、「寄宿学校」に入れられ、髪を切られ、自分達の言葉を禁じられ、日常的に虐待される。最後の寄宿学校は1996年まで運営されていました。
そんな背景がカナダにもあります。
それがなぜ、コスチュームと関係あるのか。
それは、まず、コスチュームが伝え広めるのは、正確な「インディアン」の姿ではないから
歴史的にも正確ではない、「ファンタジー」でつくられたイメージ。
誰が作ったか。
支配層の人たち。そのイメージに対して、ネイティブの人たちが反対してもそれはねじ伏せられてきました。
ファンタジーのイメージを広めることの何がいけないのか。
ーーでは逆に質問します。
ファンタジーではない、現実のネイティブコミュニティについてどんなことを知っていますか?
トロントに住むファーストネーションの人はどんな格好をしていますか?
どんな生活をしていますか?
どんな問題にネイティブの人は直面していますか?
そういう現実のメディア露出が極端に少ないのに、ファンタジーでしかも支配層によって作られた「レイシスト」なイメージだけが出回っていく。
極端な話で行けば、
今でも先住民の人たちはアメリカやカナダで羽をまとい、火の回りを裸踊りしていて、原始的な生活をしている、と思っている人がいる、
もっとひどい人だと、「先住民は過去の話で、もう存在しない」とか言う人もいます。
過去の中に閉じ込めた支配層に都合のよい「インディアン」が一人歩きしてしまうことで、
現実に続く差別的な政策、それによって起こる問題に目が行かなくなってしまうのです。
近年では、Idle No Moreなどの多くの運動が繰り広げられ、成果が大きく出てきています。
アメリカのレッドスキンズのロゴも見直しを迫られ、
多くのスポーツチームの先住民モチーフが近年変更されてきています。
ヒップスターやモデルがヘッドドレスを着れば、必ず抗議運動がおこるし、
アメリカンアパレルなどが無断でナバホのデザインを使えば訴訟が起きる。
「楽しければ、かわいければいいじゃん」
という一方的な跳ねのけは、もう通用しないところまできています。
☆もっとこの問題について考えてみたい!知りたいという人は、ハーバード大学のエイドリアンさんウェブサイトをチェック!ここから
☆リザベーションの様子がよくわかる、ネイティブアメリカンによる映画。
大好きなシャーマン・アレクシーが脚本を書いています。
「Smoke Signals」
ちょっと真面目な話をしましたが、
今年のハロウィン、私は何を着たかというと、
ぶどう!苦笑
百均で買った風船をセロファンテープと糸でつなげればできるよ。
それから、映画クロックワークオレンジの格好と、女版エドガー・アラン・ポーもやりました。
一晩で3種類、頑張った!

左がクロックワークオレンジ、右がポー。
ハロウィンはボーラーズハットがあると何かといいよね。
マジシャンとかできるしね。
私の周りで多かったのは、ゾンビ、ナイトメア・ビフォー・クリスマス、ティガーなど。
ハロウィンが終った翌日から、店頭はクリスマスモード。
明日は残り物のカボチャを持ち寄るパンプキンパレードにおでかけです。
コロラド留学のときは好きな人が誘ってくれたパーティーだったので、
黒いドレスでクロネコで行ったんだけど、
そこから年々手抜きが続いているハロウィン。
いかに持っている服で、いかにお金かけないで手作りするか!
というテーマで取り組んでします。
もうこの時期寒いから、露出は無し!
だけど、ハロウィンのコスチューム、
最近議論の高まりが。
コスチュームが
・Racistである
・女性蔑視につながる
など。あんまり考えなしにやっちゃうと、人の気持ちを害してしまう場合も。
全ての人の要望に応えるのは無理だけど、でも、自分の着るコスチュームが文化的にタブーではないかはチェックしたほうがいいかも。
カナダ、アメリカで今一番ディスカッションがさかんに感じられるのは、「インディアン」のコスチューム。
こういうのだよね
アメリカ・カナダのハロウィンの市販コスチューム
女の子の露出度やばいよね
ヘッドドレスや、レガリアを「コスチューム」として着ることが、
ネイティブアメリカンやファーストネーションズの人たちに対しての
Disrespect
であるという認識が主流になりつつある。
*注意*このエントリーでは、蔑称である「インディアン」をコスチュームや差別的イメージを説明するときには括弧付けで使用します。正式には、「ネイティブアメリカン」「ファーストネーションズ」「アメリカンインディアン」「アメリンディアン」などいろいろ呼称がありますが、ネーションの個別の名前が分かっている場合、特定して使用したほうが良いです。
「楽しいイベントなんだし、そんなシリアスにならなくていいじゃん」
「たかがコスチューム。センシティブになりすぎ。」
「考えを他人におしつけるな」
とか色々反論もあるのだけど、そんなシンプルな問題では済まされないのです。
なぜか。
アメリカもカナダも他の多くの国と同じように、ヨーロッパからの入植者達が1400年代、本当はもっと前からやってきて作った国と言われているし、今もそう思ってる人がいっぱい。
「カナダは移民の国」とかよく言うよね?
だけど、先住民の人たちがその前からいたし、そして、今もいる。
どんなひどい迫害を受けても、自分達の文化やアイデンティティを守りながら生活している。
リザーブという割り当てられた土地で生活している人もいれば(リザベーションとアメリカでは言う)、トロントなどの都会で生活している人もいる。
そうなんだけど、アメリカで彼らが「見えないマイノリティ」と呼ばれるように、その存在は長年見えないように、蓋をされてきました。
その方法の一つがイメージの操作。
「未開で野蛮」と先住民の人のイメージを植え付けることは、暴力的に彼らの土地を奪ったり、アンフェアなきまりを押し付ける際に、有効な手段として長く用いられました。
近年では、ハリウッド映画をはじめとするマスメディアを介し、ネイティブアメリカンやファーストネーションズは「インディアン」という総称で、とても野蛮、原始的、裸で火の回りを踊り、残忍なやり方で白人入植者を殺す、という一方的なイメージが広められています。
もしくは「ポカホンタス」のようなセクシーなインディアンプリンセス、もしくは、メディシンマンのような賢くて自然とともに生きてるよ!的なイメージ。
どれをとっても、「同じ人間」としてのカテゴリーではなく、"Dehumanized"、非人間化されたカテゴリー。
これは何も娯楽に限ったことではなく、ニュースメディアなんかでも、先住民系のプロテストには”野蛮”という言葉が良く使われたり、ネイティブコミュニティのニュースは「酔っ払っていてLazy」みたいな植え付けをするものが多いのだ。そして決まって、「税金ドロボー」とか。
確かに、ファーストネーションズコミュニティやネイティブアメリカンのコミュニティで、アルコール依存症や自殺率の高さが問題になっているのは事実。だけどそれを、植民・支配の歴史を抜きにして、「やつらLazyだから」というのは違うんじゃない?そういうのを”victim blaming”っていうんじゃない?
大学院のクラスでこんなエクササイズをやったことがあります。
先住民の教授がこう指示を出しました。
10人、あなたの人生に影響を与えた大切な人の名前を書いてください。
その1人ずつを消していってください。
どういう気持ちがしますか。それが現実に私達のコミュニティにおこったことです。
その知恵と文化の伝達者が奪われた状態で、あなたはどう生きますか。
どうコミュニティを育てていきますか。
しかも、そのプロセスは、ヨーロッパの人たちが作った枠組みで彼らの思う「基準」をクリアしていかなければいけない。法律を書かれても言葉だって違う。入植者が増えるにつれて、どんどん「小さな声」にされ、リザーブにしまいに閉じ込められる。子ども達は親元を離され、「寄宿学校」に入れられ、髪を切られ、自分達の言葉を禁じられ、日常的に虐待される。最後の寄宿学校は1996年まで運営されていました。
そんな背景がカナダにもあります。
それがなぜ、コスチュームと関係あるのか。
それは、まず、コスチュームが伝え広めるのは、正確な「インディアン」の姿ではないから
歴史的にも正確ではない、「ファンタジー」でつくられたイメージ。
誰が作ったか。
支配層の人たち。そのイメージに対して、ネイティブの人たちが反対してもそれはねじ伏せられてきました。
ファンタジーのイメージを広めることの何がいけないのか。
ーーでは逆に質問します。
ファンタジーではない、現実のネイティブコミュニティについてどんなことを知っていますか?
トロントに住むファーストネーションの人はどんな格好をしていますか?
どんな生活をしていますか?
どんな問題にネイティブの人は直面していますか?
そういう現実のメディア露出が極端に少ないのに、ファンタジーでしかも支配層によって作られた「レイシスト」なイメージだけが出回っていく。
極端な話で行けば、
今でも先住民の人たちはアメリカやカナダで羽をまとい、火の回りを裸踊りしていて、原始的な生活をしている、と思っている人がいる、
もっとひどい人だと、「先住民は過去の話で、もう存在しない」とか言う人もいます。
過去の中に閉じ込めた支配層に都合のよい「インディアン」が一人歩きしてしまうことで、
現実に続く差別的な政策、それによって起こる問題に目が行かなくなってしまうのです。
近年では、Idle No Moreなどの多くの運動が繰り広げられ、成果が大きく出てきています。
アメリカのレッドスキンズのロゴも見直しを迫られ、
多くのスポーツチームの先住民モチーフが近年変更されてきています。
ヒップスターやモデルがヘッドドレスを着れば、必ず抗議運動がおこるし、
アメリカンアパレルなどが無断でナバホのデザインを使えば訴訟が起きる。
Happyで有名なファレル・ウィリアムズも
エルマガジンでこのヘッドドレスを着用したことで
批判され、謝罪しています。(記事はこちら)
そもそも、ヘッドドレスや羽、レガリアは多くの先住民コミュニティで神聖な儀式に使われたり、様々な深い意味を持つものが多く、それを「コスチューム」とすること事態に問題があるという指摘もあります。
「楽しければ、かわいければいいじゃん」
という一方的な跳ねのけは、もう通用しないところまできています。
☆もっとこの問題について考えてみたい!知りたいという人は、ハーバード大学のエイドリアンさんウェブサイトをチェック!ここから
☆リザベーションの様子がよくわかる、ネイティブアメリカンによる映画。
大好きなシャーマン・アレクシーが脚本を書いています。
「Smoke Signals」
ちょっと真面目な話をしましたが、
今年のハロウィン、私は何を着たかというと、
ぶどう!苦笑
百均で買った風船をセロファンテープと糸でつなげればできるよ。
それから、映画クロックワークオレンジの格好と、女版エドガー・アラン・ポーもやりました。
一晩で3種類、頑張った!

左がクロックワークオレンジ、右がポー。
ハロウィンはボーラーズハットがあると何かといいよね。
マジシャンとかできるしね。
私の周りで多かったのは、ゾンビ、ナイトメア・ビフォー・クリスマス、ティガーなど。
ハロウィンが終った翌日から、店頭はクリスマスモード。
明日は残り物のカボチャを持ち寄るパンプキンパレードにおでかけです。
本当に難しくて奥の深い問題だと思います。
返信削除日本もそうですよね。私は道産子なのでまずキツネさんのブログを読みながら『アイヌ』の方々を思い出しました。
そして税金泥棒扱い。日本の誰だか議員が電波を通じて泥棒扱いしたんです。
私は勉強不足でアイヌの文化歴史を深くまでしらないのですが、そんな私でさえ
先住人の迫害問題は許せない気持ちで一杯です
また白昼堂々とこのような差別発言がまかり通る今の日本は危機さえ感じます
井戸の中の蛙 大海を得ず
どんなにテクノロジーが発展した国であっても大きな物が欠損しています。
私を含めた皆が知識を増やしていかないといけませんね。
キツネさん、いつも勉強になります
有難うございます☆
かなさん、
削除コメント、とってもうれしいです。ありがとうございます。こういうsensitiveな記事を書くとき、すごく緊張するので、共感コメントいただけるとすごく勇気が出ます。ありがとうございます。
マイケル(夫)がアイヌ、植民地問題について研究してるので、これから多く北海道に赴く機会があると思います。私は北米の先住民をずっと勉強してきたんですが、日本についてはあまり知識がありません。これからもっと勉強して行きたいです。
この前の夏帰国したとき、日本の排他的な空気に、なんだか危機感を覚えました。なんか、すごく頭が固い感じがしました。
カナダにもそういうのありますが、ちょっと空気が違いますよね。(なんかあやふやな表現ですみません)
これからも色々書いていけたらと思うので、よろしくおねがいします!日本での滞在、いっぱい楽しまれてくださいね!
キツネさん
返信削除こちらこそ、ありがとうございます。旦那さんがアイヌの研究を・・・
まぁ!ご縁を勝手に感じます(笑)
身の回りにも そして同級生にも平気で(朝の挨拶程度の気軽さで)当然のように
人種差別的な発言をしているのを見るとメディアが彼らの全てなんだな。と言う印象です
自らの五感を使うことを放棄し 安易にメディアに飲み込まれる。
厳しいですよね。この状況。
色々と忙しい時期に入っているようですね。どうか頑張りすぎず(笑)
楽しんで頑張ってください!陰ながら応援しています(*Ü*)ノ"